
庭は、暮らしの中で季節や自然をもっとも身近に感じられる場所です。デザインや植栽だけでなく、香り・音・光といった感覚を意識することで、毎日の暮らしが少し豊かに、やさしく変わっていきます。
今回は、そんな“感じる庭づくり”のヒントを、香り・音・光の3つの要素からご紹介します。
香りで季節を感じる庭

まずは、庭に立った瞬間にふっと漂う香り。これは、五感の中でも特に印象に残りやすい要素です。今の時期だとキンモクセイが穏やかな香りを届けてくれます。香りの植栽を取り入れるときのポイントは、風の通り道を意識すること。玄関アプローチやウッドデッキの近くなど、よく通る場所に配置するだけで、日常の動線の中で自然に香りを感じられるようになります。
また、夜に香る植物(ナイトジャスミンなど)を選べば、照明と組み合わせて“夜の庭”の魅力を高めることもできます。
香りは強すぎると疲れてしまうこともあるので、庭の一部にアクセントとして香らせるくらいがちょうどいいバランスです。
音がもたらす癒しと静けさ
庭の“音”というと、意外に意識されにくい要素ですが、静けさの中にある“音”が心を落ち着かせてくれることがあります。たとえば、植栽が風に揺れる音、足元の砂利を踏む音、ささやかな水のせせらぎなど。これらの音は、意識していなくても人の感覚を穏やかに整えてくれます。

画像引用元:RE:CORSO GARDEN -谷崎建材株式会社-
最近では、コンパクトなウォーターフィーチャー(循環式の水盤や小型の噴水)を玄関横やデッキの片隅に設けるケースも増えています。“水のある風景”が生み出す清涼感は格別です。風の音を取り入れるなら、樹種選びもポイント。細い葉を持つ竹や笹、シマトネリコのような軽やかな枝葉は、風が吹くたびにやさしい音を立て、庭に生命感を与えます。
音は“静けさの中のアクセント”。常に鳴っているよりも、ふとした瞬間に耳に届く音が、心を癒す庭づくりの鍵です。
光で表情を変える夜の庭

画像引用元:株式会社エバーグリーンエクステリア
光の演出は、外構デザインの中でも“最後のひと押し”になる要素です。昼間とは違う表情を見せる夜の庭には、特別な魅力があります。たとえば、足元をやわらかく照らすローポールライト。シンボルツリーには下から当てるアッパーライト。壁面やフェンスには、陰影をつくる間接照明。これらをバランスよく組み合わせることで、庭全体に“立体感”と“奥行き”が生まれます。最近はLEDの進化により、やわらかな電球色や調光機能付きの照明が増えてきています。眩しすぎない光は、住まいの印象をぐっと上質に見せてくれます。また、人感センサーやタイマー付き照明を採用すれば、防犯性と省エネ性も両立できます。
光を当てる場所は、植物の影が美しく落ちるポイントや、素材の質感が引き立つ面を意識するのがコツ。たとえば、木調フェンスや塗り壁の凹凸、自然石の舗装などは、夜の照明によって昼間とは違う魅力を見せてくれます。
素材で感じる”温もり”

画像引用元:株式会社HEAL THE GARDEN
素材の選び方も、“心地よさ”を左右する大事な要素です。デッキやフェンスに使われる素材は、近年では人工木やアルミ木調材が中心となっています。これらは天然木のようなぬくもりや質感を再現しつつ、ささくれ・反り・色あせといったトラブルが少なく、メンテナンスの手間を大幅に軽減できます。見た目が整っているだけでなく、足触りがやわらかく、照明を当てたときの陰影も美しいため、“人工素材でも自然を感じる”庭をつくることができます。
また、石材やタイルを選ぶときは、触れたときの感触や色の印象を意識すると、庭全体の雰囲気が変わります。たとえば、玄関まわりや門まわりには重厚感のある石材を使うと落ち着いた印象に。デッキやテラスには、温かみのある色や滑らかな質感のタイルを使うと、くつろげる雰囲気を演出できます。
まとめ
香り、音、光、そして素材。これらを少しずつ取り入れるだけで、庭で過ごす時間はより心地よく、五感で楽しめる空間になります。大切なのは、やりすぎないことです。派手な演出ではなく、日常の中でふと感じる香りや音、光の変化を意識することで、自然に心が落ち着く庭をつくることができます。
ライター:Naaya