出会いの季節

暖かい日と寒い日の繰り返し。たまにやって来るポカポカ陽気にうつつを抜かしていると、翌日舞い戻って来た寒さによって、うっかり風邪をひいてしまいそうです。でもこの繰り返しこそが、春が来る証拠なんですね。ついこの間まで寒々しかった私のお庭も、気付けばレンテンローズが咲き、色とりどりのクロッカスが咲き乱れ、フキの花芽がひょっこりと顔を出し、アケビやジューンベリーの新芽も先月よりは確実にふっくらし始めました。私はこの時期の、新芽の芽吹く瞬間を見るのが何より大好きです。一般的には卒業式や会社の移動など別れの季節と言われていますが、私にとっては新芽たちとの新たな出会いの季節なのです!

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お隣さん家のアセビも気付けば満開。コブシの蕾は今か今かと開く時を待っているかのよう。公園のユキヤナギが咲くのも、もう時間の問題のようです。植物たちの春先の行動力は、目を見張るものがあります。足元を見ると、すでにオオイヌノフグリやオドリコソウ、ホトケノザが咲き誇り、タネツケバナもロゼット上の葉からその花茎をグンと伸ばし始めています。
この花の名は稲籾を水につける、つまり稲の種を蒔く季節に咲く事から名前がついたとか。 我が家の周辺では今年は例年に比べて少し早く、半ばには稲籾の準備を始めるのだとか。いよいよ田んぼも始動し始めるようです。

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そして、今年こそはと出会いに闘志を燃やす私のそのお相手とは、ヒレンジャク。大抵小さな流れのある近くの大きなケヤキの木にはたくさんの宿り木が寄生し、今が旬のその実をついばみにこの時期だけ現れる季節限定の綺麗な鳥達です。
宿り木といえばクリスマスのイメージが強くありますが、植物としての子孫繁栄の営みを考えると、今がまさに一番重要な時期。その実を食べた彼らのフンは、またその木に寄生して新たな宿り木を作るのです。食べた後には将来の事も考えて植えつけまでして行くなんて、なんてすばらしい計画性のある鳥なんだろうと感心すらします。

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彼らにならって、物事計画的に進めて行きたいと強く切望する私です。

profile

  • 武蔵野美術大学卒業後、造園会社に勤務、多くの庭づくりに携わる。
    現在は拠点を房総に移し、イラストレーター、ガーデンデザイナーとして活動中。
  • 著書「トカイナカに暮らす」(草土出版)
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